内視鏡挿入形状観測装置を用いた大腸内視鏡検査のセーフティデザイン

内視鏡形状をリアルタイムで全て見たい

―ご開業時にUPD導入に踏切った第一の理由は何ですか?

開業以前から"内視鏡の形状が全部見えたほうがやりやすい"という考え方が自分自身の中にあったんです。透視では前後関係が分かりませんし、継続的に見ることも不可能です。UPDが市販されたのが丁度開業のころだったので間に合って良かったと思っています。
また、患者さんに"安全で痛みの少ない大腸内視鏡検査を受けていただきたい"という思いが強かったですね。挿入しづらい症例というのは必ずありますよね。そのような症例の回盲部到達率を上げるためにも、UPDは非常に有用だと考えました。UPD導入から今まで、回盲部まで入らなかった方は2人しかありません。もしUPDがなければその到達率はもっと下がるのではないかと思います。

芳賀陽一先生写真

TCSで高い安全性を確保するために有用

―UPD導入で、どんなメリットが得られましたか?

今言った到達率でもメリットがあるのですが、もちろん挿入する道を刻々と確認しながら施行できますので、より安全な検査ができます。挿入の仕方もUPDモニターを見ながらなのでスムーズですね。
ブラインドでやっていたころは位置が正確でなかったり、予想していないループができていたこともあったと思います。UPD導入以降はそのようなことは全くありません。またSDを越えるときも“無理な力は絶対かけない”という加減が確実にできるので、穿孔の可能性も軽減できますし、患者さんの苦痛軽減にも役立ちます。
トータルコロノスコピー(TCS)の場合、安全性を重視するということであればUPDはとても有用だと思います。

手技もより安全、確実な方向へと変化

―手技的な部分で変化はありましたか?

修正が多くなりましたね。UPD導入以前は透視を見ることが少なかったこともあって、ほぼブラインドで入れていましたが、そのころは修正も頭の中で考えてやっていました。しかしUPDでは全て見えるので、想定外の方向に向いたりするとすぐ修正するようになりました。そういう意味で手技自体、より安全な方向へと変わったと思います。

―UPDは癒着も良く分かるのですか?

良く分かりますね。癒着の方で思わしくないのは、逆方向に入るような形だと思います。先端が自然な方向とは逆に入っているというものですが、そのような場合も、UPDの画像で逆に向いたなと思えば、すぐ修正しますので無理やり挿入することはありません。
産婦人科の手術既往歴がある方、胃の手術後の方などに癒着が多くみられます。また胆石術後の方では肝湾曲部に癒着があり“上行結腸に挿入しにくい”ということもあります。このような癒着例に対してもUPDは十分効果を発揮すると思います。

症例あたりの時間短縮より、苦痛のない検査のメリット

―UPDを導入したことによって、経済性は変わりましたか?

大きな意味での経済性から言うと、クリニックの評判において効果があると思います。ただ、それは考え方だと思いますね。どのような経済性を求めるかによって効果の判定基準が異なります。
単に検査のコストパフォーマンスだけを考えれば時間あたり何例できるか、ということになってしまうわけですが、次回も受診していただけるか、という点から考えれば“より安全で苦しくない”ということの意味はすごく大きいわけです。“あそこのクリニックに行けば楽に大腸検査が受けられる”という評判になったほうが、“短時間に何例やれるか”ということよりも大切だと私は考えています。ですから“UPDを活用して無理なくより安全に、そして苦痛なく検査を施行する”という考え方にもなるわけです。

―患者さんにもUPDの画像をご覧いただきながら施行するのですか?

はい、ご覧いただきながらやっています。中にはかなり興味を示される方もいます。患者さんに“このように内視鏡の形状が全部逐一分かるから、無理な力を加えないし、場所もすぐ分かります。無理がないように挿入できるから、楽なんですよ”と説明しています。患者さんにもその安全性を認識していただいています。


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